仕事の選択は個人の自由であり、憲法によって保障された権利であることは、明治の憲法以来、遵守されていたことです。
仕事の選択が個人の権利であるということはヨーロッパの価値観であり、明治憲法はドイツ憲法の思想に近いため、このような形になりました。
ドイツは、農民として生まれたものは農民以外の職業になれない頃がありました。
ドイツの農民が、自由に職業を選択できるようになったのは、ワイマール憲法で権利が保証されるようになってからのことです。
ドイツの憲法を下敷きにして、大日本帝国憲法が制定されたことは多くの人が知っていますが、仕事の選択はこの影響を大きく受けています。
明治は時代が大きく移り変わっていた時代です。
富国強兵策の中で、かつての農民の生き方が焦点の一つでした。
つまり、全ての農民を従来通りに土地と結びつけておくことは、富国強兵に向けて進みたい日本の国策と一致しないものとなっていたのです。
ドイツの手法を真似ることで、国の生産性を高めることを、総理である伊藤博文は決めました。
富国強兵を推し進めるためには、農民でも仕事の選択に自由を与え、国民一人一人の生産性を高めることが、ヨーロッパに追いつき追い越すためには必要という考えになります。
国には国の思惑があって、仕事の選択を自由にできるようにしたという言い方ができるでしょう。
今もなお、仕事の選択は個人が自由に行うことができます。
様々な背景的な事情があった上で、現在のありようが成立していると言えるでしょう。
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