
「IT業界は、若くてキラキラした人たちの世界。自分のような『石橋を叩いて壊す』タイプの銀行員には無縁だ」
もしあなたがそう考えているなら、それは2026年の市場環境を見誤っています。今のSaaS(サース)業界は、勢いだけの若手ではなく、「地味で泥臭い管理」ができ、「経営層の懐に飛び込める」熟練のビジネスパーソンを求めています。
なぜ今、40代の元銀行員がSaaS営業として「無双」できるのか。その理由と、年収を最大化させるためのキャリア戦略を解説します。
そもそも「SaaS(サース)」とは何か? 2026年の市場環境
まずは前提となる「SaaS」の定義と、なぜこの業界が銀行員を求めているのかを整理しましょう。
SaaS = 「持たない」ソフトウェアの時代
SaaSとは「Software as a Service」の略で、これまでのようにCD-ROMでソフトを購入してPCにインストールするのではなく、クラウド経由で月額料金(サブスクリプション)を払って利用するサービスのことです。Salesforce(営業管理)、SmartHR(労務管理)、マネーフォワード(会計)などがその代表例です。
2026年:SaaS業界は「規律」を求めている
かつてのSaaS業界は、赤字を掘ってでも広告を出し、強引にユーザーを増やす「グロース至上主義」でした。しかし、2026年の現在は「ユニットエコノミクス(顧客1人あたりの採算性)」が厳しく問われる時代です。
ここで重視されるのが、以下の3点です。
- ARR(年間経常収益): 毎年確実に入ってくる収益をどれだけ積み上げられるか。
- Churn Rate(解約率): 顧客が辞めないよう、いかに深く入り込めるか。
- 規律ある営業組織: 勘や根性に頼らず、KPI(重要業績評価指標)に基づいた組織的な営業ができるか。
この「ARRを積み上げるための規律」こそが、銀行員が20年以上叩き込まれてきたスキルの本質なのです。
SaaS営業の3つの職種:銀行員はどこを目指すべきか?
SaaS営業は「分業制」が基本です。銀行員時代の経験をどこに当てはめるべきか、その役割を解説します。
① インサイドセールス(IS):商談の「種」を撒く部隊
電話やメール、SNSを駆使して見込み顧客にアプローチし、商談をセッティングする役割です。
- 銀行員との相性: 銀行の「電話爆撃(テレアポ)」や「新規飛び込み」を経験してきた方なら、その行動量は驚異的な武器になります。ただし、40代がここからスタートするのは、キャリアパスとしては少し「若手向け」と言えます。
② フィールドセールス(FS):商談を「成約」させる部隊
ISがセットした商談を引き継ぎ、具体的な提案を行ってクロージングする役割です。
- 銀行員との相性: ここが本命です。 特に、大手企業を相手にする「エンタープライズ営業」は、銀行員が最も得意とする領域です。決済ルートの複雑さ、稟議の通し方、反対勢力の説得……。銀行での「法人融資」の全プロセスが、そのままSaaSの受注プロセスにスライドできます。
③ カスタマーサクセス(CS):契約を「継続」させる部隊
成約した顧客にソフトを使いこなしてもらい、解約(チャーン)を防ぐ役割です。
- 銀行員との相性: 既存先を回り、課題をヒアリングして追加融資やビジネスマッチングを提案する「深耕営業」の経験が活きます。
「数字への執着心」の深層翻訳:銀行員が評価される理由

転職面接で「ノルマを達成してきました」と言うだけでは、SaaSの採用担当者には響きません。以下のように「翻訳」して伝えてください。
① 「ノルマ必達」 → 「ARR最大化へのコミットメント」
銀行でのノルマは「今月で終わり」の点ですが、SaaSの数字は「積み上がっていく線(ARR)」です。 「私は、一度接点を持った顧客を離さず、徹底的なフォローアップで解約リスクを最小化し、LTV(顧客生涯価値)を最大化させることに執着してきました」 この表現を使うだけで、あなたの価値は「古い営業」から「SaaSに最適化されたプロ」に変わります。
② 「稟議書文化」 → 「エンタープライズ・セールス・スキーム」
「銀行員として、社内の厳しい審査部を納得させるためのロジックを何百回も構築してきました。これは、SaaS導入時に障壁となる顧客側の情報システム部や法務部に対し、どうすれば『Yes』と言わせるかの戦略構築能力に直結します」 これは、IT系出身の若手が最も苦手とする「大人の政治」の攻略能力です。
気になる年収とキャリアの「出口」
SaaS営業は、40代銀行員にとって「年収の換金効率」が非常に高い場所です。
2026年の想定年収レンジ
- ベース給: 700万〜1,000万円
- インセンティブ(OTE): 成果次第で+200万〜500万円
- 合計: 1,000万〜1,500万円以上
40代でマネジメント(営業部長など)を任されれば、2,000万円を超えるケースも珍しくありません。さらに、未上場のスタートアップであれば「ストックオプション」が付与される可能性があり、上場時に数千万〜数億円の資産を形成するチャンスもあります。
その後のキャリア
SaaS営業で「IT業界の勝ちパターン」を身につければ、その後は他のIT企業の役員や、事業会社のDX責任者(CDO)など、より市場価値の高いポジションへ羽ばたくことができます。

まとめ:SaaSが欲しいのは、あなたの「IT知識」ではない
あなたが最新のプログラミング言語を知っている必要はありません。SaaS企業があなたに求めているのは、以下の3つの「銀行員遺産」です。
- 数字をごまかさない、誠実なプロセス管理能力
- 経営層(社長・財務部長)と対等に話せる「視座」
- 目標達成に対する、異常なまでの「執念」
IT知識は数ヶ月で補えます。しかし、あなたが20年かけて身につけた「プロとしての規律」は、IT業界では絶滅危惧種と言えるほど希少な価値を持っています。
2026年、地銀が再編の荒波に揉まれる中、あなたのその「執念」を、未来を創るSaaS業界の推進力に変えてみませんか?
💡 ワククマの戦略的アドバイス
SaaS業界への転職で最も重要なのは、「IT業界の言葉」を正しく使いこなすことです。この記事を読み終えたら、まずは以下の用語を暗記し、面接で自然に使えるようにしてください。
- ARR / MRR: 年間 / 月間経常収益
- Churn Rate: 解約率
- LTV: 顧客生涯価値(1人の顧客が一生でもたらす利益)
- CAC: 顧客獲得単価
- The Model: IS/FS/CSに分かれた営業モデルの総称



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