
「銀行での20年間、自分は何を成し遂げたのか?」
この問いに対し、多くの銀行員は「〇〇支店で融資を伸ばした」「〇〇アワードを受賞した」と答えます。しかし、異業種の採用担当者が知りたいのは、あなたの「銀行員としての勲章」ではありません。彼らが知りたいのは、「その経験を使って、我が社のどんな課題を解決してくれるのか?」という一点のみです。
2026年、AIによる書類選考(ATS)をパスし、かつ40代という年齢を「経験不足」ではなく「円熟した即戦力」と認識させるための、戦略的なテンプレートを公開します。
職務経歴書の黄金律:ATS対応×人間力のハイブリッド構成

まずは、2026年の標準的な「勝てるレイアウト」を理解しましょう。
- 職務要約(3〜5行): AIにキーワードを認識させ、人間に興味を持たせる「フック」。
- 活かせる経験・知識(箇条書き): ATSが最も重視する「スキルセット」の棚卸し。
- 職務経歴(逆編年体): 最新の経歴から書き、現在進行形の価値を証明する。
- 主な実績: 数字(KPI)を用いた、定量的な成果の記述。
- 自己PR: ポータブルスキルと、アンラーニング(学習棄却)の姿勢を強調。
【実例テンプレート①】SaaS業界(営業・事業開発)狙い

銀行員の「数字への執着」と「法人への深く入り込む力」を、SaaS業界の用語(LTV, Churn Rate等)に翻訳して記述します。
職務要約(サンプル)
法人営業として約18年間、製造業からITスタートアップまで延べ500社以上の経営支援に従事。単なる融資提案に留まらず、顧客の経営課題を特定し、キャッシュフロー改善と連動したソリューション提案を得意としています。直近3年間は支店次長として、KPIマネジメントを通じた組織全体の生産性向上を主導。LTV(顧客生涯価値)の視点に基づいた深耕営業により、エリアNO.1の成約率を維持しました。
活かせる経験・知識
- ビジネスデベロップメント: 新規顧客開拓におけるリード獲得からクロージングまでの一貫した経験。
- KPI管理: 目標達成に向けた先行指標の設計と、行動ログに基づくマネジメント。
- ステークホルダー交渉: 経営層(CEO/CFO)に対する論理的なプレゼンテーション能力。
実績の書き方(Before/After)
- ×ダメな例: 「融資目標1億円を達成し、支店長賞を受賞」
- ◎良い例: 「担当エリアにおける新規獲得KPIを120%達成。顧客のチャーン(離脱)リスクを財務分析により早期検知し、前年比15%の取引深耕を実現。」
【実例テンプレート②】M&A仲介・FAS(財務アドバイザリー)狙い
「審査」の経験を「分析・評価」へ、そして「稟議」を「スキーム構築」へと変換します。
職務要約(サンプル)
融資審査および法人推進において、約20年にわたり企業の財務基盤評価と成長戦略支援に従事。特に事業承継ニーズを持つオーナー企業に対し、バリュエーション(企業価値算定)に基づく資本政策の提案を得意としています。銀行内の枠組みを超えた財務デューデリジェンス的視点を持ち、複雑なスキームの稟議(意思決定支援)を100件以上完遂した実績を有します。
活かせる経験・知識
- 財務分析・企業価値評価: 三表連動(PL/BS/CF)に基づく詳細なキャッシュフロー分析。
- スキーム構築: 組織再編やMBO等を活用した最適な資本構成の立案。
- ドキュメンテーション: 投資判断や意思決定に資する高度なロジカルライティング。
実績の書き方(Before/After)
- ×ダメな例: 「事業承継の融資を3件実行した」
- ◎良い例: 「事業承継を検討する売上30億円規模の製造業に対し、EBITDAマルチプルを用いた簡易バリュエーションを実施。後継者問題解決のためのM&Aスキームを立案し、成約までを財務面からリード。」
【実例テンプレート③】中小企業・PE投資先CFO(経営管理)狙い
「管理職」の経験を、組織全体の「ガバナンス」と「資金繰り最適化」として記述します。
職務要約(サンプル)
銀行でのマネジメント経験を通じ、組織の内部統制と経営管理システムの構築を主導。支店次長として、30名規模の組織における予算策定・実行管理(予実管理)を行い、恒常的な目標達成を実現しました。対外的な金融機関折衝のプロフェッショナルとして、企業の資金調達コスト低減と、キャッシュフローの最適化に強みを持っています。
活かせる経験・知識
- 経営管理・予実管理: 月次決算の早期化と、数字に基づく経営判断の支援。
- ガバナンス・内部統制: リスク管理規程の整備と、コンプライアンス体制の構築。
- 資金調達戦略: デットファイナンスを中心とした、資本コストを意識した資金調達。
実績の書き方(Before/After)
- ×ダメな例: 「次長として支店の不祥事防止と計数管理を徹底した」
- ◎良い例: 「30名の組織において、オペレーショナル・エクセレンスを追求し、事務ミスを前年比50%削減。並行して、管理会計を導入し、部門別の採算性を可視化。全社の営業利益率を3%改善させるための基盤を構築。」
40代の差別化ポイント:「アンラーニング(学習棄却)」を明文化する
40代の転職で、採用側が最も懸念するのは「これまでのやり方に固執し、新しい環境に馴染めないこと」です。これを払拭するために、自己PR欄に必ず以下の要素を盛り込みます。
自己PR欄の推奨テキスト
【変化への適応力とアンラーニングの姿勢】 20年間の銀行キャリアをベースとしつつ、常に最新のデジタルツールや市場トレンドを吸収することに注力しております。2025年にはPythonを用いた財務データ分析のスキルを習得し、業務の自動化を推進。これまでの成功体験に固執せず、貴社の文化や最新のビジネスモデル(SaaS等)をゼロから学び、自らの知見を「その環境に合わせて再定義」する柔軟性を大切にしています。
まとめ:職務経歴書は「未来への招待状」
職務経歴書を書き終えた後、一度見直してください。そこに書かれているのは「銀行員だったあなたの記録」ですか? それとも「異業種の課題を解決するプロフェッショナルの姿」ですか?
2026年、地銀再編やAIの普及により、銀行員のキャリアは「看板」では守れなくなりました。しかし、あなたが泥臭く現場で培ってきた「数字を見る眼」「人を見る眼」「組織を動かす力」は、正しい言葉に翻訳されれば、どの業界でもダイヤモンドのように輝きます。
このテンプレートは、あくまで「土台」です。ここにご自身の血の通ったエピソードを肉付けし、最高の一枚を完成させてください。


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